ユングの著書@ 『赤の書』THE RED BOOK
C・G・ユング[著]
ソヌ・シャムダサーニ[編]
河合俊雄 [監訳]
田中康裕、猪股 剛、高月玲子 [訳]
創元社
その人がどういう人なのかを手っ取り早く知る方法。
それは、日記を盗み見することではないでしょうか(笑)。
ブログやツイッターだと、
やはり多少は他人の目を意識しているところがあるでしょうし、
100%本音で書かれているとは言えないかもしれませんから…。
世界的権威のある心理学者の心の内を知るにも、
やはり著書よりも私的な日記を見るのが得策。
ユングは、16年余りの長きにわたって日記をつけていたそうです。
それが、有名な『赤の書』
この赤の書には、ユング心理学の中核を成す理論のすべて記されています。
ユングは、第一次世界大戦前から
繰り返し恐ろしい幻覚を体験していたことで知られていますが、
ともすれば精神病に引きずり込まれてしまいそうなところ、
ユングは自らの幻覚を研究対象として受け入れ、
緻密に綴ることによって、自らの内面と対峙しようとしていました。
この『赤の書』には、まさにその全記録が残されているのです。
この日記、存在自体は知られていましたが、
半世紀にも秘密のヴェールに包まれていました。
それが、ようやく私たち一般人でも
手に取ることができる形になったということで、
注目を集めている著書です。
価格は42,000円と高価ですが、
手に取るだけでその価値の重さを実感できる仕上がりになってますよ◎
ユングの著書A 『人間と象徴 ―無意識の世界 』
カール・グスタフ・ユング (著)
河合 隼雄 (翻訳)
河出書房新社
ユング心理学に興味があるなら、一度は手にして欲しい一冊。
自らの研究を大衆化することに対して
あまり積極的ではなかったユングが、一度は要請を断りながらも、
ある夢を見たことからこの著書を手掛けることを決めたという一冊です。
心の専門家ではない一般の方に向けた内容とはいえ、
さすがに「分かりやすい」とは言えない内容ですが…。
ユング自身が解釈した多くの夢の事例が紹介されていて、
その解釈の奥深さは脱帽もの。
全体を通して、豊富な写真、絵画、図版が使用されていますので、
素人さんでもユング心理学の概観をざっくりとつかむことはできるでしょう。
興味がある方はぜひ!
ちなみに、ユング本人が書いているのは最初の1章のみ
(しかも、死の10日前に書き上げたのだとか!)
他の章は、生前のユングが厚い信頼を寄せていた同僚たちによるもので、
全て草稿の段階でユングが承認していた内容ばかりです。
上巻と下巻があり、 ユングの最終結論(総論)が上巻の最初に出て、
そこからは門下生が各論を一人ずつ論説するという構成です。
ユング心理学の集大成と言っても過言ではない著書ですよ!
ユングの著書B 分析心理学
カール・ユング (著)
小川 捷之 (翻訳)
みすず書房
「理論をたらたらと並べられても、読んでいるうちに眠くなっちゃうよ〜」
という方にオススメなのがコチラの著書。
生前のユングがおよそ200人の医師たちを前にして開いた
5つの講義からなる一連の講演を、記録としてまとめられたものです。
そういう意味では、「ユングの著書」というのとは
またちょっと違うかもしれませんが…。
内容的には「意識・無意識の特質とその由来」から始まり、
「正常性と病理性」、「普遍的無意識」、「言語連想検査」、
「個人的無意識」、「夢分析の前提」、「転移の定義・投影の特質」
…と、充実。
全章を通してレクチャア&ディスカッション形式で書かれていますので、
まるでユングの講演を聴いているかのような感覚で
読み進めることができると思います。
読書が苦手な方にぜひオススメしたい本ですね(笑)。