ユング派の心理療法とは
ユングが築いた理論は、机上の空論ではなく
実際の臨床現場でも大いに活用されています。
しかし、一般の人にとっては、
「臨床心理学」という分野自体があまり馴染みのない分野…。
ユングの理論がどのように生かされているのか、実践されているのか、
知る機会はなかなかないでしょう。
ここでは、ユング派の心理療法の特徴について詳しく見ていきます。
ユング派の心理療法とはエントリー一覧
- ユングの精神病治療
- 誰かのことを良く知るためには、それがどんな形であれ「対話」が大切ですよね。そうでなければ、自分の先入観や好き・嫌いだけで人を判断してしまったりすることにつながります。人が考えていることをしぐさだけで読み取ることは容易ではありませんので、そこはやはりコミュニケーションが必要になってくるわけです。…これは、健康な人だろうが精神病の患者だろうが、同じこと。精神病だからといって、ただ「妄想」や「幻覚」といった症状だけを見ていたのでは、本当の意味でその人に合った治療を行うことはできません。治療の糸口を見つ...
- ユング心理学と箱庭療法
- ユング派の心理療法の一つに、「箱庭療法」があります。心理学に興味がある方なら、言葉くらいはきっとご存知でしょう。みなさん、「あ〜、箱の中におもちゃを置いたりする、アレね」という程度の知識くらいはお持ちなのではないでしょうか。適当な箱の中におもちゃを並べさせれば良い…というわけではなく、あの箱は、厳密に言うと大きさが決まっています。正式には、横57cm、縦72cm、深さ7cm程度の内側を青く塗ってある箱に、深さ3cm程度まで砂を敷いたものを使います。この箱の中に、砂や石、様々なおもちゃを用いて自分...
- ユング派カウンセリングの特徴
- 人と話をする時、その相手によって「居心地の良い」姿勢って違いますよね。例えば、家族や親しい友人、恋人と話すなら、ソファーにゆったり腰かけてor寝転んだ姿でリラックスしながら。目上の人と話すなら、背筋を伸ばしてイスに浅く腰かけて…等々。ユングは、この「姿勢」も治療効果に大きな影響を及ぼすと考えました。師であるフロイトが「患者を寝椅子に寝かせて頭の中に浮かんだことを自由に話すように促す」…というスタイルであったのに対して、ユングのカウンセリングでは、患者と治療者は向かい合って座ります。治療者と患者の...
- ユング派分析家となるためには?
- 心理学をかじったことがある方なら、「ユング派分析家」という言葉を一度ならずとも何度も耳にしたことがあるのではないでしょうか。ユング派分析家とは、その名の通り、ユングが確立した技法を用いて心のケアにあたるカウンセラーのこと。とはいえ、単にユングの著書で勉強したからといって誰でも「ユング派」を名乗れるかといえばそうではありません。実は、れっきとした資格があります。(この資格は、心理療法のプロ免許である臨床心理士とはまったくの別モノです)日本で最初にユング派分析家の資格を取得した人物としては、京都大学...
- 弁証法的なカウンセリング
- ユングのカウンセリングといえば、「弁証法的プロセス」が特徴的。「弁証法」…なにやら小難しい響きですが…一体、どんなカウンセリングのことを言うのでしょうか。ユング派のカウンセリングにおける弁証法とは、ごく簡単に言うと「治療者と患者の反応を積み重ねることによって、新しい発見があったり、真実に近づいたり…と、お互いを高め合ったり深め合ったりしていく過程」単に患者が治癒するというだけではなく、治療者もまた成長していくという相互作用が特徴的なんです。考えてみれば、これは当然のことですよね。「心」という曖昧...
- ユング心理学と夢分析
- 夢分析といえば、フロイトが有名ですよね。しかし、実は同じようにユングもまた、「夢」を非常に重要視していました。とはいえ、同じ夢分析でも、両者の夢に対する捉え方は異なっています。フロイトは、夢に表れるものはことごとく「性的なもの」に関連づけたことが印象的ですよね。例えば、傘や杖、ペン、鉛筆といった「棒」状のものは全て男性器の象徴。箱や靴など、「容器」状のものは全て女性器として解釈していたんです。ドアなんかも女性器の象徴ですね。確かに、そう言われればそういうイメージにも見えてきますけど…(苦笑)ユン...
- ユング心理学における「投影」とは
- 誰かの特徴を表現する時、私たちはよく、「明るい・暗い」「感じが良い・悪い」「真面目・チャラチャラしてる」「優しい・厳しい」「大胆・慎重」…といった具合に、2つに分類して考えがちです。でも、大勢で会う場合と、2人で会う場合とで雰囲気が変わる人っていませんか?みんなから「明るい」と言われている人が、2人きりになると急に無口になったり、誰にでも優しいハズの人が、困っている人を見かけても無視したりとか。慎重で石橋を叩いても渡らないイメージの人が、ある時、とんでもなく大胆な行動に出て人々を驚かせたり…。こ...
- 子どもを対象としたユング派心理療法
- あまり認めたくない感情かもしれませんが、自分の子どもを見ていて、たまにイラっとしたりストレスを感じたりしてしまうことはないでしょうか?例えば、友達の輪に入っていけずにウジウジして泣いていたり、自分の気持ちを素直に表情や言葉に出す無邪気な姿…。なんだかわからないけど無性にイライラして、子どもについ冷たく当たってしまったり。どうしてそうしてしまうのか分からず、自分で自分を責めてしまったりしたことはありませんか?ユングによれば、それは、あなた自身の影の部分を子どもに投影しているからなのだとか。ウジウジ...
- アクティブイマジネーションとは?
- ユングが提唱した心理療法のテクニックの一つに、「アクティヴ・イマジネーション」があります。あまり広く知られていないようですが、多少なりとも臨床心理学をかじったことがある方ならご存知なのでは?アクティヴ・イマジネーションは、精神分析と心理療法のためのテクニック。私たちが日常生活の中で何の気なしに行っている“想像”=イマジネーションという行為が持つ意味を徹底的に追求するものです。具体的には、ある想像を一定期間(○週間、○カ月)にわたって1つのストーリーとして発展させてみるというもの。実際にやってみる...
- 夢分析と「拡充法」
- ユングは、夢を分析する方法として「拡充法」という方法を提唱しました。これは、一つのテーマから連想されることを物語(昔話や神話)との共通点から理解していく…というメソッド。例えば、ライオンが出てくる夢を見た場合、「ライオン=怖い。ライオン=王さま」…といった具合に、物語に見られるモチーフを使って夢を膨らませていくのです。これは、「ライオン=怖い=父親」といった“連想”とは異なる夢の解釈法です。では、ユングはなぜこの拡充法を用いたのでしょうか?それは、「夢を普遍的なイメージに関連付けるため」と言われ...
- ユング心理学における“蜘蛛”の解釈
- 日常生活の中では、「昨日、なんの夢みたっけ?」「どんな夢だったか忘れちゃった〜」…という程度に軽くあしらわれがちですが…。ユングやフロイトの心理学では、“夢”というものがその人の内面(無意識)を表すものとして非常に重要視されます動物も然り。夢に動物が表れた場合、ユングやフロイトの心理学ではその動物がどんな意味を持つのか、夢に表れたということは何を意味しているのか、深く掘り下げていきます。例えば蜘蛛は、 “陰湿な女性”の象徴。心理学的には、「縛り傷つける女性」「束縛する母親」といった意味を持ちます...
- ユングの「向性検査」
- ユングと言えば、「内向性」「外向性」という“性格類型”を提唱したことで知られています。ごく簡単に言うと、前者は、心のエネルギーが自分の内面に向いていること。一般的に「内向的な人」と言われる人は、この内向性が強く、控えめで我慢強い傾向があると言われています。自分の内的な状況や“感覚”的なものからの影響を強く受けるタイプです。、一方、後者は、心のエネルギーが外界に向きやすい性質。「外向的な人」とは、社交的、陽気、行動的な傾向が強い人です。周りの人の趣味や流行にも影響を受けやすい傾向があります。「向性...