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神話を失った現代という時代

神話といえば、なんといっても「ギリシャ神話」が有名ですが、
それ以外にも古今東西様々な神話が存在しています。

 

もちろん、我が日本にも!!
みなさん、イザナギとイザナミの話を耳にしたことはありませんか?

 

何を隠そう、これは、日本に伝わる「日本列島誕生」に関する神話です。
この2人の神がまぐわったことで、

この日本列島が生まれたと伝えられているのです。

 

…今、「そんなのただの作り話でしょ」と笑った方!

 

では、私たち人類はなぜこの世界に生まれたのでしょう?
死んだらどうなるんですか?

そもそも、この世界はなぜできたのでしょう?
一体、何の目的で?

 

…どうですか、完璧に応えられますか?
答えられるならそれは立派なことですが、

ほとんどの方は言葉を失って考え込んでしまうことでしょう。

 

世界各地に存在する神話は、
このような根源的な問いに対する答えとして作り出されたと言っても

過言ではないと思います。

 

例えばキリスト教神話によれば、私たち人間は
「神が土の塵で作った人形に命を吹き込んで」造られたのだとか。

そこには、科学的根拠なんて要りません。
しかし、私たちはそこに

「自分たちがこの世に生み出された意味」「生きる意味」を見出し、
自分たちを安心させているのです。

 

なんだかんだいっても、人間は全てを100%科学ベースで考えられるほど
ドライな生き物ではありません。

非科学的な「神話」を心の拠り所にしている部分があることは
否定できないハズ。

 

ユングはその点に目をつけ、
「現代社会は心を寄せるべき神話を失っている」

…と憂慮していたといいます。

アメリカの原住民から学んだこと

「自分は何のために生きているんだろう」
「自分という人間の意味は?」

 

…自分に問うてみた時、あなたは明確な答えを見出せますか?
きっと、多くの人は、答えに窮して途方に暮れてしまうことでしょう。

 

ユングによれば、それは「神話を失っているから」なのだとか。
例えば、アメリカの原住民であるプエブロ族(アメリカン・インディアン)は、

「自分たちは太陽の子である」という神話を信じて生きています。
自分たちの祈りによって太陽が運行するという

強い誇りを持って生きているので、
「私が生きていること=太陽の運行を支えること」

「私が死ぬこと=太陽が昇らず、世界が真っ暗になってしまうこと」
というしっかりとした死生観を持っているのです。

 

こうした「神話」を自分の日々の生活の支えにしている人は、
おそらく自分の存在意義について思い悩むことは少ないでしょう。

 

ユングは、現代の心の問題の多くは、
神話を持たないことによって生じる虚無感や孤独感

一因になっているのではないかと指摘したのです。

「神話」を生きる

とはいえ、一体何を心の拠り所にして生きていったら良いのか…。
何でもかんでも科学的に考えるクセがついてしまった私たちにとって、

いまさらプエブロ族のような神話を信じて生きろと言われても
ちょっと難しいですよね。

 

そこでユングは、
「自分は○○のために生きているんだ」

「自分が生きていることにはこんな意味があるんだ」
という個人神話の発見に重きを置いていました。

 

このような個人神話を見つけるためには、自分自身の内面との対話、
そして「ヌーメン的体験」が必要不可欠だとユングは説いたのです。

 

毎日を気忙しくバタバタと過ごしていると、
「自分とは」「生きるとは」「死ぬとは」

…なんて深く考える機会はあまりないですよね。
それがある時、何かの問題につまづいて、

自分という存在が分からなくなる…。

 

そこから始まる不安や孤独感こそが、
心理的問題の引き金になると言っても過言ではありません。

だからこそ、今、神話を求めることが必要なのです。

 

忙しい今こそ、立ち止まって、あなただけの神話を探してみませんか?

 

※ヌーメン的体験とは…?
人知を超えた神秘的な体験。

「死ぬ」ということや「生きる」ということについて、深く自問自答する体験。

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