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「UFO」は私たちの願望の表れ!?

突然ですが、みなさんはUFOを見たことがありますか?

 

古今東西、UFOの目撃談って色々ありますよね。
筆者が子どもの頃は、UFOの特別番組も度々放送されていましたし…。

矢追純一氏の、大真面目でありながら
どこか怪しげな解説が妙にハマってしまって、

毎回TVに釘付けになっていた記憶がありますが…(笑)。

 

実はユングも、UFOに興味を持っていた1人。
目撃証言を掲載した雑誌や新聞の切り抜き、

さらに体験談の手紙などを収集し、本まで出しているです。
アメリカの「空中現象研究組織」の名誉会長まで務めているんですから…!

いやはや、彼の知的好奇心には脱帽ですよね。

 

…というのも、ユングの時代にも、
UFOの目撃情報って結構多かったみたいなんです。

 

ユングによれば、UFOの目撃は
「不安から救われたい」という願望が投影されているものなのだとか。

2度に渡る世界大戦を経て、
世界的に出口の見えない不安感に包まれていた当時、

「誰かに救って欲しい」という救世主願望が
UFOという形になって表れたのだというのです。

 

【ユングの言葉】
「この種の心的現象は、ある補償としての意義を持っているだろう。

現在の意識状況、すならち、
いつでも普遍的な破局につながり得るという、

一見出口のなさそうに見える世界の政情に対して
無意識が自然発生的に出す答えではないだろうか」

UFOとマンダラ

ユングは、報告されているUFOの目撃談の多くが「円型だった」ことに
特に注目していました。

 

今でこそ、奇想天外な形をしたUFO目撃談が増えてきていますが…
当時はそうでもなかったんですね。

 

ユングによれば、これは、
仏教の瞑想に使われる「マンダラ」と同じような意味合いがあり、

全体性や統合を象徴しているものと考えられるのだとか。

 

なぜ、ユングがそんなことを思いついたかといえば、
マンダラはユングにとっても非常に意味深いものだったからです。

 

実の父親のように慕っていたフロイト先生と
学問的な意見の相違で決別した当時のユングは、

自分でもよくわからないままに円形の絵を何枚も描いていたのだとか。

 

そして徐々に、精神的に安定している時にはキレイな円が描けること、
心が不安的な日に描く円はいびつであることに気づき始めます。

 

ある時、彼は、自分の描いた円と
東洋で瞑想の道具として使われている「マンダラ」との間の

共通点を見いだしたのです。

 

だからこそユングは、UFOが「円」であることにビビッときたわけですね。

マンダラとはなんぞや?

ところで、マンダラって何だかご存知でしょうか?
あまり、日常生活の中では耳慣れない言葉だと思います。

 

マンダラとは、サンスクリット語で「円」を意味する言葉。
理想的な精神状態を表す象徴として使われるもので、

自分の中の対立する様々な感情を統合する意味があります。
(例えば、男性性と女性性、劣等感とプライドなど)

 

実はこのマンダラ、ユングが提唱した
「集合的無意識」という概念とも深いつながりがあります。

 

集合的無意識とは、
人の心の中に普遍的に存在している「イメージパターン」。

例えば、ふっくらした体型の女性を象った土偶などに
母親的なものを感じたり、

厳しく教え諭してくれる賢者のイメージに父親的なものを感じるのは、
私たちの心の深層に、共有する「無意識」が存在しているからです。

 

ユングが、仏教で使われるマンダラと同じような絵を描いていたことも、
この集合的無意識があるからだと彼は考えていたのです。

 

洋の別を問わず人類の心の奥深くには共通したベースが存在する。
意識や個人的無意識よりもさらに深いところでは、

民族や国家、人種を問わずみんなつながっている。

 

…なんだか、ロマンチックな考え方ですよね。
どこにいても自分は1人じゃないと励まされるような心強さがあります。

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