ユング心理学の世界へようこそ

自己の治療の中で見出したもの

実の父親のように慕っていたフロイト先生と
学問的な意見の相違で決別した当時のユングは、

ちょうど、いわゆる「中年期の危機」にさしかかっていた頃。
自分自身の生きざまについて、深く思い悩む日々を送っていたようです。

 

その当時、ユングはよく、円形の絵を描いていたのだとか。
当初は、なぜ円を描いてしまうのか

自分でもその意味を理解できなかったようですが、
精神的に安定している時にはキレイな円が描けるものの、

心が不安的な日に描く円はいびつであることに気づき始めます。

 

マンダラ

 

そしてある時、彼は、自分の描いた円と
東洋で瞑想の道具として使われている「マンダラ」との間の

共通点を見いだしたのです。

マンダラとはなんぞや?

マンダラ…耳にしたことはあるけれど、果たしてその正体は何ぞや!?
という言葉ですよね。

あまり、日常生活の中では耳慣れない言葉です。

 

マンダラとは、サンスクリット語で「円」を意味する言葉。
理想的な精神状態を表す象徴として使われるもので、

自分の中の対立する様々な感情を統合する意味があります。
(例えば、男性性と女性性、劣等感とプライドなど)

 

自分の中の相対する感情をうまくコントロールして収集をつけていないと、
円は歪んでしまうのです。

 

そもそものきっかけは、
ユングの友人であるリヒャルト・ヴィルヘルムによって贈られた

東洋哲学に関する書籍にあったようですが、以後、
ユングは東洋哲学について熱心に研究するようになったと伝えられています。

 

同時に、中国の「練金術」や西洋の練金術にも出会い、
この研究に没頭していくのです。

集合的無意識とマンダラ

実はこのマンダラ、ユングが提唱した
「集合的無意識」という概念とも深いつながりがあります。

 

「集合的無意識」
…心理学以外の分野の本にも度々登場するキーワードですので、

みなさんも一度や二度は目にしたことがある言葉ではないでしょうか。

 

ユング心理学では、人の心の中には普遍的に、
ある「イメージパターン」が存在していると考えます。

例えば、ふっくらした体型の女性を象った土偶などに母親的なものを感じるのは、
「母親元型」が働くからです。

子供を宿した女性のふくよかな姿=母性を象徴しているわけです。

 

同様に、厳しく教え諭してくれる賢者のイメージは
「父親元型」の表れです。

 

これらのイメージは、は古代から伝わる神話や伝説、芸術、
個人が見る夢の中にも見られることから、

人類の心の中で脈々と受け継がれてきたものであるとユングは考えたのです。

 

そして、その元型を生みだす元になっているものが、「集合的無意識」。
これは、私たちの無意識の深層に存在するもので、

国や民族を超えて人類全体に共通して存在するものだと考えられています。

 

元々、ユングがこの概念を思いついたきっかけこそが、「マンダラ」です。
仏教で使われるマンダラと、

彼自身が描いていた絵との間に大きな共通点があったことから、
ユングは東洋哲学の研究にのめり込んでいきます。

 

また、西洋と東洋それぞれに伝わる神話や伝説には
共通したテーマを扱った物も多いことから、

洋の別を問わず人類の心の奥深くには
共通した「集合的無意識」が存在すると考えたのです。

 

図のように、意識や個人的無意識よりもさらに深いところにある層で、
民族や国家、人種を問わず普遍的に存在しています。

ユング心理学とマンダラ関連エントリー