ユング心理学の世界へようこそ

自分らしく生きる

ユングによれば、人の心の働きには
「思考」「感情」「感覚」「直観」という4つの働きがあるのだとか。

そのうち、どの要素が最も強く働くかによって、
その人の「タイプ」が分かるのだといいます。

 

例えば…
物事を論理的にとらえる機能は「思考」。

「好き・嫌い」で判断する機能は「感情」。
物事を、ありのままの形で受け止める機能は「感覚」。

パッと本質的なものがひらめく機能は「直観」です。

 

どうでしょうか、あなたはどの機能が優位ですか?

 

ここで大事なのは、
自分の中のあまり発揮されていない機能を見極めること。

得意なことは自覚しやすいと思いますが、
苦手なことってなかなか自分では分からないものですからね。

 

得意な機能に隠れた「苦手な機能」を見出すことが、
「自分自身」を良く知ることにつながっていきます。

 

そして、よく働く機能についてはさらに磨きをかけ、
逆に、あまり働いていない機能については、

もっとその機能を発揮できるように意識していく。

 

より自分らしい自分、生き生きとした自分に近づいていくためには、
この繰り返しが必要です。

 

ユングによれば、これは私たちの心の中心を成す「自己」を
しっかり機能させることにもつながっていくのだとか。

 

このように自分らしい自分に近づけていく過程が、
ユングのいう「個性化」や「自己実現」なのです。

「個性化」のプロセスとは

個性化について説明する前に、まずは
「自己実現とはどのようなことか」見ていきましょう。

 

自己実現とは、まさにユングが心理療法を通じて実現しようといたプロセス。
単に症状を取り除くことではなく、

 

「自分は何のために生きているのか」
「これからどうやって生きて行ったら良いのか」

「自分らしさとは何か」

 

…というテーマを追求していくことです。

 

この自己実現のプロセスを進めていくためには、第一に、
ユングが提唱した「集合的無意識」のイメージから

自分自身をしっかりと区別することが必要です。

 

集合的無意識とは、誰もが先天的に持っているイメージパターンのこと。
例えば、

「父なるもの=怖い、カタイ、威厳のある」
「母なるもの=やわらかい、優しい」

…といったイメージです。

 

しかし、全ての男性が怖くて偉そうな人ばかりというわけではありませんし、
全ての女性が聖母マリアのように優しいわけではありません。

この先天的なイメージに縛られ、振りまわされていると、
現実世界での人間関係に支障をきたす恐れがあります。

 

だからこそ、まずは、
そのイメージパターンから自分自身を解放させることが必要!

 

自分自身、そして周囲の現実をありのままに受け入れること。
ここから、「個性化」のプロセスが始まっていくのです。

 

「個性化」を目指す

ユングが「自己実現」や「個性化」などと
ちょっと難しい名前をつけたプロセスは、

要するに「自分らしさ」を追求すること。

 

でも、自分らしいということがどんなことなのか、
正直よく分からないものですよね。

カッとなる沸点や、涙があふれてくる融点は
なんとなく分かっているつもりですが…。

 

自分の心はどういう働きが得意で、
どういう働きが不得意なのかについては、

本人も誤解している部分が大きいと思います。

 

これを知るためには、実は、「他人」という鏡を使うのが一番の近道。
人との関わりの中から自分の新たな一面が見えてくることって多いですから。

 

例えば、相手のある特定の言動にイライラすることってありませんか?
それは、あなたが認めたくないもう一人の自分が

刺激されて反応している証拠。
今まで気づかなかった自分の新たな一面を自覚できるチャンスです。

 

「個性化」を目指すということは、
自分という人間の良いところも悪いところもひっくるめて

丸ごと受け入れるということなのかもしれません。

 

…こうして、一見マイナスなことも
プラスに転化できるのがユング心理学の良いところなんですよね(笑)

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