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ユング心理学の基礎

集合的無意識

 

ユング心理学で最もメジャーな概念といえば、「集合的無意識」
心理学以外の分野の本にも度々登場するキーワードですので、

みなさんも一度や二度は目にしたことがある言葉ではないでしょうか。

 

これを理解するためには、まずはユング心理学の基礎について
ざっくりと知っておく必要があります。

 

まず、「元型」(アーキタイプ)という言葉。
これは、人の心の中に普遍的に存在していると考えられる

「イメージパターン」です。

 

例えば、ふっくらした体型の女性を象った土偶などに
母親的なものを感じるのは、「母親元型」が働くからです。

 

同様に、厳しく教え諭してくれる賢者のイメージは
「父親元型」の表れです。

 

これらのイメージは、は古代から伝わる神話や伝説、芸術、
個人が見る夢の中にも見られることから、

人類の心の中で脈々と受け継がれてきたものである
ユングは考えたのです。

 

そして、その元型を生みだす元になっている
「何か」が根底にあるハズと考えて…。

結論として導き出されたのが、「集合的無意識」という概念。
これは、私たちの無意識の深層に存在するもので、

国や民族を超えて人類全体に共通して存在するものだと考えられています。

普遍的に存在する「無意識」

全ての人類に共通して存在すると言われている「集合的無意識」。
でも、ユングはなぜ、

「人類に共通して」と言い切る自信があったのでしょうか?

 

その答えの一つが、「マンダラ」です。
マンダラは、仏教の世界観を表現した円形の絵。

祈祷の道具に使われたりもしますので、
みなさんも1度くらいは目にしたことがあるのではないでしょうか?

 

そのマンダラと、ユング自身が描いていた絵との間に
大きな共通点があったのです。

この発見を機に、ユングは東洋哲学の研究にのめり込んでいきます。

 

また、西洋と東洋それぞれに伝わる神話や伝説には
共通したテーマを扱った物も多いことから、

洋の別を問わず人類の心の奥深くには
「共通した何か」があると考えたのです。

 

例えば、「太陽を崇拝する」というテーマや
自然に「母性」を見出すというテーマ…etc。

これらのテーマを生みだす根底にあるもの、
それが「集合的無意識」なんですね。

 

図のように、意識や個人的無意識よりもさらに深いところにある層で、
民族や国家、人種を問わず普遍的に存在しています。

集合的無意識の役割とは?

ユングによれば、私たちが「自分」を認識できるのもまた、
この「集合的無意識」が存在するからなのだとか。

 

確かに、無意識・普遍的に共有できる「何か」がなければ、
自分が生きる価値を見いだすこともできないでしょうし、

他人と話をしても通じないような気がしますよね。

 

遠い昔の民話や伝説から学ぶことが多いのも、
世代が違う人と会話できるのも、

国籍が違う人との間に会話が成立するのも、
(言語の壁をクリアすれば、の話ですが…)

普遍的に共有できているものがあるからなのかもしれません。

 

そういったベースがなければ、会話は全く噛み合わないでしょう。
「集合的無意識があるからこそ、

人は自分自身とも他者とも対話・理解し合えるのだ」
と言うユングの説はごもっともですね。

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