ペルソナとは何か?
私たちは、1人の人間でも実に様々な「顔」を持っています。
例えば、「親」という顔、「妻or夫」という顔、
「○○会社の営業担当」という顔、「○○部の部長」という顔…。
私たちは、意識するか否かに関わらず、
地位や役割、場面に合わせて態度や行動を変えています。
つまり、「役割を演じている」わけです。
これが、ユングが提唱した「ペルソナ」です。
元々の意味は、古代ローマの古典劇において演者が身につけていた「仮面」。
つまり、私たちは普段の生活の中で
「仮面」をつけて暮らしているというわけ。
面白い発想ですよね(笑)。
確かに、心当たりはありますよね。
親の前では「わがままでテキトーな奔放娘」、
カレの前では「強がりだけど、実は健気なところもあって、放っておけない彼女」、
上司の前では「テキパキと仕事をこなすデキる部下」
女友達の前では「友達想いで気が利く、イイ子」
…こうして考えてみると、なんだかちょっと怖いですね(汗)
それでも、その仮面を自分で自覚できているのであれば
さほど問題はありません。
ユングが問題視しているのは、
「舞台を離れてもその仮面を外せずにいる人」
職場を離れた後も教師風を吹かせて説教じみたことばかり言ってしまったり、
奥さんに対してもまるで部下を扱うような態度で指導したりする人は
ペルソナとの関係に問題があるのかもしれません。
夢に表れる「ペルソナ」@
自分がかぶっているペルソナとの関係がうまくいっていない場合は、
その状況を象徴するような夢を見ることが多いようです。
ユングは「夢分析」も専門としており、
自分が見た夢と対話することで
「自分自身がかぶっているペルソナの在り方」や
「ペルソナとの付き合い方」を知ることができると考えました。
例えば、怪獣や獣と闘っている夢をよく見る人。
この場合は、
「怪獣=母親や父親を象徴するイメージ」と考えることができます。
つまり、親に対する恐怖心や、
それを乗り越えて独立しようという強い意思が見て取れます。
「イイ子」の仮面をかぶり、
親に抑え込まれて好きな方向に進めずにいる自分に対して
苛立つ気持ちがよく表れている夢だと思います。
人によっては、名刺を出そうと思っても名刺が見当たらないという夢を
見るケースもあるようです。
これも、自分の人生を自分で決めることができていないという気持ちの表れ。
「イイ子」「エリート」「優等生」の仮面を脱ぐことができずに
苦しんでいるのです。
夢に表れる「ペルソナ」A
筆者もよく見るのですが、「落ちる夢」ってありますよね。
ガクッと、階段を踏み外すような感覚の…。
このタイプの夢は、
「調子に乗るなよ」
「もっと地に足をつけたほうが良いんじゃないのか?」
「こんなにうまくいくハズがない。きっと失敗する」
…という不安感の表れ。
人生を楽しんでいる、人生が充実している…という仮面をかぶっているものの、
それは単なる見せかけで心の中は不安でいっぱい。
自信がありそうに振る舞っているけれど本当は自信なんてない…
そんな状態です。
確かに、筆者も、
表向きはポジティブですが内面は思いっきりネガティブ(苦笑)。
前向きで明るくて元気な人という仮面をつけてどこへでも行きますが、
心の中はいつだって不安で後ろ向きで超・ダーク。
心から「幸せだ」と思ってしまうと、
何かとんでもなく悪いことが起こるのでは…
という恐怖感からどうしても抜け出せません。
不思議なもので、明るく振る舞えば振る舞うほどに
内面的な不安感って増していくんですよね…。
無理な仮面を外して、根暗を前面に出してしまえば
もっと楽になれるのかもしれませんね。
厄介な頼まれごとをしたり、誘われたりする回数も減ってくるでしょうし(笑)。
ユングも、「自分に合った仮面をつけること」、
「仮面を上手に着脱できるようになること」が大切であると説いています。