ナチズムって何?
「ナチス」とか「ナチズム」とか「ユダヤ」とか。
意味は良く分からないけれど、とにかく、
多くの人が迫害されて苦しみながら命を落としていったという
事実があることは誰でもご存知でしょう。
ナチス(Nazis)とは、1933年にヒトラーを党首として
ドイツ政権を掌握したファシズム政党のこと。
「国家社会主義ドイツ労働者党」とも言います。
そして、ナチスの政治理念や支配体制のことを
「ナチズム」と呼んでいるわけです。
このナチスが一体、どのような政治だったかというと…。
言わずもがな、反民主主義、反共産主義、反ユダヤ主義…の一党独裁正義。
それはもう、過激な政治でした。
ナチズムの理念の根本には、
「自分たちゲルマン民族が最強だぜ!」
というゲルマン民族至上主義の考え方がありますので、
その優越感情がナチズムに拍車をかけたのではないかという説もあります。
そこで必ず出てくる疑問は、
「なぜユダヤ人を迫害したのか?」という問題ですが…。
これには諸説あり、学者によっても見解が違っているようです。
ここでは、その一例をご紹介しておきます。
●血液型の問題
当時、有色人種は白人に比べて
下等なサルから進化した人種であるという説があり、
これがドイツの優性人種政策に火をつけた。
●ユダヤ人の民族性の問題
イスラエル建国までは流浪の民であったにも関わらず、
インテリや金持ちが多かった。
また、ユダヤ教の「救世主思想」ゆえに誇り高い民族で、
移り住んだ土地の文化に溶け込もうとせず
自分たちの文化や宗教を守ろうとした。
これが、「気に食わない」と目の敵にされる要因になった。
●ヒトラー自身の出生の問題
実は、ヒトラーにもユダヤ人の血が混じっていた。
幼少の頃にはそれが原因でいじめられた経験もあり、
「自分の運命への恨み」が、
やがて「ユダヤ人への恨み」に変わっていった。
ユングを巡る疑惑
実は、我らがユングもナチスと無関係ではありません。
なんと、ナチスに協力してユダヤ人を迫害したという疑惑があるです!
自分自身、そして人との「対話」を重要視してきたユングが、まさか…と、
とても信じられない説ですよね。
なぜこんな疑惑をもたれるようになったかというと、それは、
第二次世界大戦中に、ナチス寄りの心理学協会の会長を務めたことが
影響しているようです。
しかもその頃、
ユダヤ民族の心理的特性についての論文も発表していることから、
ますます「ユダヤ人差別に強力した」という見方が強まっていったのです。
フランスでは、今でも
「ユング=ナチスに加担した卑劣な心理学者」
というイメージが残っているのだそうですよ…。
これまで辿ってきたユングの人生からは、
そんな姿はとても想像がつかないのですが、実際はどうだったのでしょうか?
ことの真相は…
ともすれば私たちは、TVや新聞、雑誌の内容を鵜呑みにして
「○○首相はダメだな〜」
「なんだ、あの政治家、そんなひどいこと言ったのか!」
なんて、よく事情を知りもしない政治家を批判したりするものですよね。
それが支持率に現れて、結局その政治家は辞任に追い込まれたり…。
でも、もしかしたら私たちは、
メディアの情報に踊らされているだけなのかもしれません。
事実はちょっと違うのかも…。
ユングの疑惑も、実際は根も葉もない誤解のよう。
その証拠に、ユングは、第二次世界大戦後も
ユダヤ人の友人や弟子たちと親しく付き合っていたようです。
ユングが言うには、彼は、
ユダヤ人を守ろうとして心理学協会の会長を引き受けたのだとか。
ドイツ人が会長になって、
ユダヤ人迫害がエスカレートするのを食い止めようとしたのです。
また、論文も、ユダヤ人を差別するための材料としてではなく
「正しく理解してもらうために」書いたものだったのだということで
ナチスに加担するつもりなんて微塵もなかったようですよ。
全てが逆の方向に誤解されて…ヒドイですよね。
それだけ、戦争は人の理性を狂わせてしまうものだということです。
白い物を「白」と、自信を持って言えなくなるような理不尽さ、恐ろしさ。
戦争の前では、学問や科学でさえもフェアなものではなくなってしまうんですね…。