深層心理学ってどんな心理学?
「心理学」と一言で言っても、実際は様々な領域があり、
それぞれ「○○心理学」と名前がついています。
例えば、「深層心理学」。
…なにやら興味をかきたてられる分野ですよね?
心の深い層を追求する学問…字面から捉えると、そうなりますよね。
深層心理学とは、私たちの心の深い部分にある
「無意識」という領域の働きに注目して人間の行動を解釈する心理学のこと。
自分で意識してコントロールできる部分を超えている出来事や感情、
例えば、
「なぜかこんなことをしてしまった」
「なぜか怒ってしまう」
「なぜかイライラしてしまった」
…こういった出来事には、
無意識が大きく影響しているのだと考える立場です。
深層心理学の分野で有名な心理学者といえば、やはり、我らがユング!
また、ユングが師として仰いだ(やがては決別してしまいますが…)
ジークムント・フロイト、
そしてアルフレッド・アドラーらが挙げられるでしょう。
ユング心理学は深層心理学の一種
「夢」や「集合的無意識」といった、
人が自分で意識できるものを超えた部分。
つまりは「無意識」の領域に着目したユング心理学は、
いわゆる「深層心理学」の一つとして分類されています。
ただし、フロイトとはちょっと考え方が違っています。
「深層心理学」とひとくくりにされていますが、
学者によって学説も様々。
特に、ユングの理論は個性的です。
でも、ユングの理論にはダイナミックさがあって筆者は好きです。
例えば、「無意識」の問題。
ユングは、ひところで無意識と言っても
「個人的無意識」と「集合的無意識」があると考えていました。
前者は、元々は意識の中にあったもので、それらが忘れられたり、
意識することを拒否されたりした結果として集まってきたものです。
一方、後者は、民族や国籍を超えて
人類に普遍的なものとして古くから受け継がれているもの。
ユングによれば、種を超えて他の動物も持っている領域だといいます。
この「集合的無意識」を共有しているおかげで、
私たちは他者と気持ちを通じ合わせることができるというのです。
確かに、なんらかの形で共有できるベースがなければ、
他者と本当に意味で分かり合うことなどできないでしょう。
ある対象に対するイメージが
てんでばらばらになってしまうわけですから…。
人種の壁を越えて理解し合うなんて到底難しいでしょうし、
人種を超えて一つの芸術作品が評価されるということも
難しくなってくるのではないでしょうか。
心の構造はどうなっているの?
ここでちょっと面白いイラストをご覧いただきます。
これは、
「同じく“深層心理学”の学者といえども、
学者によって心の捉え方は違ってくる」
ということがよく分かるイラストです。
【フロイトの場合】
@「イド」から発せられた情動が「超自我」によって審査される。
↓
A(社会的に)不適切と判断されると、修正を加えられた形で意識の領域へ。
※この際、超自我による検閲で
無意識の領域に抑圧される欲望や感情も出てくる。
結果的に、これが集まって「無意識」の領域が形成されたという考え方。
↓
B対外的な行動や行為という形で現れる。
【ユングの場合】
フロイトが考えた無意識の、さらに深い部分に
「集合的無意識」が存在するという考え方が特徴的。
また、意識ありきの無意識ではなく、あくまでも
「無意識から意識が芽生える」という考え方で、
自分自身を集合的無意識から区別して考えられるようになることが
「より自分らしい自分」の発見につながるという立場である。