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「元型」という考え方

ユングといえば、「元型」の理論が有名です。
これは、ごく簡単に言うと、

人類の心の中に存在する“イメージ”のこと。

 

例えば、「母親元型」。
“母親”のイメージというと、たいていどこの国でも、

女性的な体の曲線を表現したものであったり、
お腹が膨らんだ妊婦さんであったりしますよね。

 

これは自分の祖先からというよりは、
全人類に普遍的に存在するイメージなんです。

このようなものを指して、
ユングは「元型」=アーキタイプと名付けたんですよね。

 

しかし、実はこのアーキタイプ、もともとは
ギリシャの哲学者プラトンが生み出した言葉だということを

ご存知でしたか?

プラトンが唱えた「型」の考え方

プラトンは、「永遠不変な真の存在」を追及したことで知られる哲学者。
彼の著書を読むと、「なるほどなあ」と納得させられるのですが、

確かに、この世にゼッタイ的な“真”の存在があるかと言われれば、
「ある」とは言い切れませんよね。

 

だって、私たちはどんなものであっても
“五感”に頼って現実を認識しているんですから。

私が「有る」と思っているものも、
実際には「無い」のかもしれませんし。

 

プラトンは、「感覚の世界は一時的で可変性のものである」として、
対象物の“本質”である

型(パターン)やイメージこそ永遠不変な真の存在である
という説を唱えました。

 

この型こそが、ユングの言う「元型」と通ずるものです。
この考え方を簡単に・わかりやすく説明すると…

 

例えば、人の一生は非常に短くてあっけないものですよね。
しかし、人間の「型」は他の動物とは異なるものであって、

私たちの視覚が捉えている人の「型」(外観)は全ての人間に共通。
そしてその型は、子孫へと受け継がれていくので、永遠不変!

人がこの世に存在する限り、人の「型は存在し続けるわけです。

 

これが、プラトンが言うところの「人の元型」。
「真の人」、「人の本質」ということになります。

ユングとプラトンとタロットカード

上記のようなプラトンの「元型」って、
現代で言うところのDNAと似ていますよね。

あの時代にそこまで深く考えが及ぶというのは、さすが!
後世に語り継がれる哲学者ですね…!

 

ちなみに、ユングやプラトンのこの“型”の考え方は、
錬金術や占いの世界でも生かされています。

 

例えばタロット占いではタロットカードを使って占いますよね?
それは要するに、カードに描かれた

記号(シンボル)を使うことによって、
私たちに共通して無意識に存在している

“元型”を表層意識上に呼び起こす行為。

 

タロットをかじったことがある方ならご存知だと思いますが、
タロットカードは「人生の縮図」と言っても過言ではないほど、

人生における“啓示”めいたことが非常によく表されているんです。

 

例えば、「隠者」のカードなんて、
ユングが言うところの「老賢人」とピタッと重なりますし!

 

 

「女帝」や「皇帝」のカードも、母親や父親の普遍的なイメージを
非常によく表しているなと思います。

 

占いを信じない方はタロットも軽視しがちですが、
ユングやプラトンの学説と照らし合わせながらカードを眺めてみると、

ちょっと恐ろしくなるくらい共通する面が多いものです。

 

タロットカードは書店でも販売されていますので、
ご興味がありましたら、ぜひ眺めてみてください!

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