ユング心理学の世界へようこそ

謎多きユングの日記

ユングは、 16年余りの長きにわたって日記をつけていたそうです。
しかも、手書き!

(まあ、今のようにパソコンが普及していなかった時代ですから、
当たり前といえば当たり前なのですが…笑)

 

それが、有名な『赤の書』です。
この赤の書には、

ユング心理学の中核を成す理論のすべて記されていました。
どんなユング心理学解説本を読むよりも、

ユングの心理療法のモデルに近づける一冊と言っても過言ではないかも!?
マニアにとっては、もう、本当にお宝モノの本なのです!

 

ユングは、第一次世界大戦前から繰り返し、
恐ろしい幻覚を体験していたことで知られていますが、

その幻覚についても記されているのだとか。
ともすれば精神病に引きずり込まれてしまいそうなところ、

ユングは自らの幻覚を研究対象として受け入れ、
緻密に綴ることによって自らの内面と対峙しようとしていたんですね。

これを読めば、ユングが「自己実験」と呼んだ
「無意識との対決」の意味がよく理解できると思います。

 

この『赤の書』には、その記録と、
それについてのユング自らの解釈が記されているのです。

 

存在が知られていながら、
秘密のヴェールに包まれていたこの『赤の書』が、

なんとようやく白日の元に!
(ユングの死後、半世紀もの間、黒いトランクに収められた姿で

スイスのある銀行に保管されていたのだとか)

 

ここでご紹介するのは、 2009年10月、
創元社から発売された『赤の書 THE RED BOOK 』

価格は42,000円と少々手が届きにくいお値段なのですが…。

 

さながら聖書のような重厚な趣のある装飾は、
手に取るだけでその価値の重さを実感できるハズです。

赤の書 THE RED BOOK  詳細情報

赤の書 THE RED BOOK
C・G・ユング[著] 

ソヌ・シャムダサーニ[編] 
河合俊雄 [監訳]

田中康裕、猪股 剛、高月玲子 [訳]

 

A3変型判・上製・予464頁

 

ISBN: 978-4-422-11436-1 C3011

 

定価: 42,000円(税込)

 

発行: 創元社

 

 

第一の書
プロローグ 来るべきものたちの道

第1章 魂の再発見
第2章 魂と神

第3章 魂への奉仕について
第4章 荒野での体験

第5章 前途へ向けての冥界降り
第6章 精神を引き裂くこと

第7章 英雄の死
第8章 神の宿り

第9章 神秘。出会い
第10章 教え 

第11章 解放

 

 

第二の書 さまよう者のイメージ
第1章 赤色

第2章 森の中の城
第3章 卑俗なる者の一人

第4章 隠者。第一日
第5章 第二日

第6章 死
第7章 初期の教会のなごり

第8章 一日目
第9章 二日目

第10章 ここに、受肉がはじまる
第11章 卵を割る

第12章 冥土
第13章 生け贄の殺害

第14章 神の愚行
第15章 第二夜

第16章 第三夜
第17章 第四夜

第18章 三人の預言者
第19章 魔術の才

第20章 十字架の道
第21章 魔法使い

・試練
・結語

 

付記A.解説 
付記B.1916年1月16日の箇所に関する『黒の書』からの記載

付記C.付録図
謝辞

『赤の書』の特徴

ユングの私的日記とも言うべきこの『赤の書』には、
ユング心理学の中核となる

「元型」「普遍的集合的無意識」「個性化の過程」…等々、
主要な概念のエッセンスが全て記されています。

 

ユングが行っていた心理療法は
「一種の芸術」に例えられることも多いようですが、

本書を読むとその理由に改めて納得!

 

ユング心理学を本当に理解しようと思ったら、
頭で覚えようとか頭で理解しようとか思ってもダメ。

創造力、イメージ力を最大限に発揮して“感じる”ことが必要です。

 

 

この『赤の書』の中に掲載されている、
ユング自身の手による多くの絵から、

果たしてあなたはどんなメッセージを感じ取れるでしょうか?

 

 

ユングの「赤の書」とは?関連エントリー